介護の工夫

成年後見人制度のメリット・デメリット

成年後見人制度というものをご存知でしょうか。あまり日常では聞きなれない用語だと思います。

 

成年後見人制度とは認知症などで判断能力が著しく欠く者を法律的に支援する人を付ける制度のことを言います。契約社会に生きる私たちは自己の判断能力をもって決定をなしますが、それを著しく欠く場合の決定は法律上有効な意思表示とみなしません。

 

しかしそうするとこのような者は契約を行うことができないこととなりますし、だまされて高額な物を購入してしまうということもあるでしょう。そうした判断能力を欠く者が不利益を被るという事態を防ぐため、裁判所に申し立てその者を援助する者を付けるというのがこの制度の趣旨です。

 

要介護者の実に2割以上が認知症であり、「介護」の原因第2位ということで、判断能力の低下した要介護者は多数おり、また今後も増加していくものと思われます。このような中で本人の財産管理を目的とした成年後見人制度もまた増加していくものと思われます。

 

介護になってしまったときのために自分の財産を守るため成年後見人制度のことを知っておく必要があるでしょう。

 

成年後見人制度の概要

さて、この成年後見人制度ですが当然できることとできないことがあります。

 

まずできることとしては

 

@財産管理(売買・賃貸借契約を締結できる)
A身の回りの契約行為(介護サービス請求、公共料金の支払いなど)
Bその他諸手続き(確定申告など)

 

などがあげられます。つまりは本人の不利益とならないような一般的な契約行為を代理して行うことができるということです。

 

したがってそれ以外の例えば、

 

@医療行為への同意
A資産運用、資産譲渡
B遺言書作成

 

などは成年後見人に与えられる権限を踰越した行為にあたり行うことができません。

 

また成年後見人は代理権とともに取消権(本人の行った法律行為を取り消すことができる)を有しますが、たとえば日用品などの買い物などについては取消権は有しません。

 

そしてあくまで成年後見人は本人の財産管理が主たる役割であるため、その職権を濫用または逸脱した行為はその成年後見人の解任事由となります。また成年後見人のなすべき義務を怠り第3者に損害を加えた場合は当然損害賠償責任を負うため、それだけ責任の大きな仕事であるといえます。

 

成年後見人は任意後見と法定後見に分かれ、前者は判断能力が低下する前にあらかじめ後見人を選んでおく制度で、後者は既に判断能力が低下している場合に家庭裁判所が後見人を選定するといった仕組みになっております。任意後見は支援できる内容も任意で決めることができますが、法定後見は支援できる内容は法律で定められた範囲にとどまります。

 

どちらが良いということはありませんが、転ばぬ先の杖という言葉もあるように、いざそうなってしまった場合に困らぬようあらかじめ用意しておくことの重要性は成年後見人制度に限りません。

 

成年後見人制度の問題点

もちろん成年後見人制度は万能ではありません。前述のとおり資産の譲渡ができないため相続税対策ができなくなったり、または親族といえど本人の資産に手を出すことができなくなります。

 

また責任の重大な仕事であるにも関わらず報酬は要介護者の負担とならないよう月2万程度と相場が決められており、成年後見人のなり手が少ないのも現状です。また手続きに数か月かかるということもあり、なかなか利用者が伸びないという実態もあります。

 

終わりに

問題もある成年後見人制度ですが、「介護」においては介護する側の肉体的精神的苦痛の他にも財産をどうするかといったことまでのしかかってきます。いざ認知症などで「介護」状態になってしまった時のために成年後見人制度を活用するのも「介護」を乗り切る一つの手であると思います。

 

 

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