介護の工夫

「介護」の抱える諸問題A 〜介護難民と問われる介護サービスの質〜

現在わが国の「介護」の抱えている問題の一つに「介護難民」があります。

 

言葉の意味としては家庭にしろ、施設にしろ、しかるべき介護を受けることのできない要介護者のことを指します。

 

介護難民問題について

まず特別養護老人ホームの入所待機者は現在その数50万人を超えているという「待機老人」の現状があげられます。

 

もちろんその原因は保育園の待機児童と同じく、増え続ける要介護者とそれを受け入れる施設の需給のバランスがとれていないことが主たる要因です。

 

増加の一途をたどる要介護者に対して、なかなか増えない施設ですが、その理由として端的に人手不足という問題であるといいます。

 

都市部では土地の問題や、財源の問題というのもあるのですが、一番は介護職の人手不足であり、施設があっても働き手がいないのでは仕方ありません。これが特養の増えない最大の原因であるといいます。

 

そして施設に入れない介護難民の受け皿であるはずの「在宅介護」についても、介護する側も高齢化しているという老々介護や核家族化による家族における介護人員の不足などの問題により「介護難民」となってしまうのです。介護難民とならないためには介護施設・職員の増加という他力の部分もあるのですが、自らの努力も必要であると考えます。それは別の機会にて述べたいと思います。

 

深刻化する介護職不足

さて、前述のとおり「介護難民」問題が深刻化している我が国日本においては、さらに深刻化しているのが介護職の人手不足という問題です。

 

介護職と聞くと資格を有していれば引く手あまたという今や若者の新たな人気職の一つであるかのような風潮がありますが、介護士の3年離職率は60%といわれており、昨年の厚労省の統計では20年後に40万人弱の介護職が不足するという由々しき見通しが立てられています。

 

なぜ、介護職はそれほどまでに人手が足りないのでしょうか。ひとえに介護職とはいっても仕事内容は多岐にわたりますが、一般的には「給料が安い、きつい、きたない、危険」の4kといわれるように過酷な重労働と低賃金が原因といわれています。

 

重労働はいわずもがなですが、人手が足りずその分一人の介護職員にのしかかる労働の増加も離職の原因となっています。また全産業に比べ介護職の平均賃金は月10万円以上も低い水準であり、賃金がなかなか上がらないことも離職の大きな理由の一つです。

 

このように介護職の待遇の悪さからくる離職率の高さが、またさらなる離職を生むという悪循環に陥っているのが今の介護職の現状でしょう。現状打破のきっかけとなるのか昨年政府は介護職一人当たり1万円強の賃金底上げとなる援助の政策を決定しましたが、依然として低い賃金水準であることは言うまでもありません。

 

まずはさらなる大幅な待遇改善と介護職に対するイメージの改善がないことには若者の介護職離れはさらに加速していくものと思われます。

 

低下するサービスの質

そして前項の介護職不足はサービスの質をも低下させているという問題があります。

 

低い賃金で重労働を強いられている現在の介護職の待遇の悪さゆえに、モチベーションの低下に伴い当然サービスの質は低下します。さらにはその高い離職率は人材育成においても大きな障壁となっており、一定のレベルを持った介護職が育たないという実情もあるのです。ニュースになりましたが、介護職員による介護者への虐待などもこの待遇の劣悪さを一因とするものでしょう。

 

質の低下が今後加速すれば、介護への不信→施設・介護職の減少→さらなる介護難民の増加につながり、日本の「介護」は崩壊していくものであると思います。対策の一環として政府は成果報酬の導入を検討するなどサービスの質の向上に、思案しているようですが、それで果たしてこの状況は改善するのでしょうか。

 

そんなことよりも基本給や仕事の内容、仕事量、職場環境などのもっと根本的な部分にあると考えます。

 

とにもかくにも、介護職の不足は公的介護保険だけでなく、この国の「介護」を揺るがしかねない事態です。したがって介護職の社会的地位の向上は今後の「介護時代」を乗り切る大きな重要施策の一つであることは間違いありません。

 

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