心を閉ざした方が介護によって笑顔を取り戻した体験談

心を閉ざした方が介護によって笑顔を取り戻した体験談

介護の仕事ではいろいろな大変なことはあります。

 

毎日たくさん移乗もあり、入浴介助もあり、体にかかる負担も大きいですが、毎日たくさんの生身の人間と関わることも大変なことの一つです。少しでも心が元気になってくれればと接していますが、心を閉ざしている人へ支援することは大変エネルギーが必要で、気を使いながらの支援になります。

 

相手に合わせることと信頼関係の重要性

心を閉ざしている人へ無理して積極的に接することは必ずしもいいとは言えません。時間をかけて信頼関係を築いていくことも大切です。

 

重要なのはゆったりとした気持ちで待つことです。かといって、何も働きかけをしないのかと言えばそうではなく、相手に負担にならない程度に働きかけを続けていく必要があります。

 

具体的な接し方

具体的には、返事が返ってこないとわかっていても挨拶をする。相手がムスっとふくれていても気にせず機嫌よく過ごすなど、他の利用者さんに接するのと変わらないよう返事が無くても接します。

 

心を開いてくれた人の例

心を閉ざしている人が心を開いてくれると言うことは、相手にとってものすごく挑戦なのでしょう。長年介護の仕事をしていると、様々な人が少しづつ心を開いて通わしてくれていると感じる場面があります。

 

サービス付き高齢者向け住宅で暮らしているAさんは、左半身に麻痺のある60代の女性です。

 

彼女は心を許した介護士でないと入浴や外出などの関わりを拒否する方です。

 

私がこの施設で働くようになってから、昼食後の薬を毎回届けるようにとサービス提供責任者から言われました。

 

将来的には一緒に外出してほしいと思うが、まずはコミュニケーションをとれるようになることからはじめてほしい。

 

働いている時間が短いので、薬を持っていくくらいしか会えることがないので、仕事へ来たときは必ず薬を持って行って挨拶をしてほしいと言われました。その日から、仕事へ行ったときは必ずAさんへ薬を届けています。薬を届けたときのAさんは借りてきたDVDを見ていたり、寝ていたりと言葉を交わしてくれることはありません。

 

それでも毎回必ずにこやかに声をかけるように心がけていました。私の働いている日数が少ないこともあり、なかなかAさんと話す機会がないまま月日は流れて1年ほど経った日のことです。

 

Aさんは語学学習に興味があり、私も英語を勉強していることから共通の話題ができました。施設へ新たに入居された方が元々生まれが海外の方だったのでその方も含めて3人で話す機会があったのです。

 

そのころからAさんは私と目を合わせてくれるようになり、英語で少し会話を交わすこともありました。

 

そして、Aさんが海外生まれのBさんと話しているところに私も行った時のことです。

 

私が「女子会だね」と話しかけるとBさんが「女子会?」と聞いたので「Girl’s conference」と英語で言うとうんうんとうなずきながらAさんが笑いました。

 

初めてAさんが笑ってくれたのでびっくりしましたが、Bさんの力も借りてAさんと打ち解けれて瞬間でした。その後は自分からやってほしいことなども言ってきてくれるようになり、挨拶をしてもちゃんと挨拶が返ってくるようになりました。

 

神経質なAさんなので、もし私から積極的にかかわりに行っていたら鬱陶しがられていたことだと思います。返事をしてくれなかったころもきっとAさんは私のことは気になって見ていたと思います。そして、共通の趣味が見つかり、一度話したことをきっかけに話をしてくれるようになりました。

 

現在では、一緒に買い物へ出かけることもあります。その日の体調やフィーリングにもよりますが笑って話をしてくれることもあります。

 

ですが、最初に会話を交わし、笑ってくれた日のことは忘れることができません。仕事での疲れがパっと一気に飛んでいった瞬間でした。私はこの感動のために仕事をしているのかもしれません。

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